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「現代美術」と愛知、名古屋 [アート 現代美術]

 さて、話は少し戻ります。
 芸大の入学当初、デュシャン氏については、名前だけは聞いたことがありました。
 それは荒川修作氏という愛知県出身の「現代美術」の画家が、アメリカに行って「デュシャン氏の薫陶を受けて活躍した」ということを名古屋にいた時に河合塾の原先生などから聞いていたからです。

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マルセル・デュシャンと荒川修作、ドワン画廊 1966

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荒川修作 マドリン・ギンズ 意味のメカニズム 1971年

 受験生の私は、芸大の受験準備のため、森岡先生から通うように言われた名古屋の藤島 奬(すすむ)先生という日展の先生のところにデッサンを習いに毎週日曜日に行っていました。

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ハイデルベルグ 藤島奨 油彩

 藤島先生のところでは、絵が上手いと思っていた私は天狗の鼻が折られ、「石膏デッサン」というギリシャ彫刻のデッサンで苦労していました。私のデッサンが”相手の像に似ない”という恐ろしい事態に直面していました。
 このデッサンは、2年掛かって高校3年生でようやくこのレベルになったものです。
 ひどいデッサンも取ってあるので、またいつかお見せできる機会もあるかも知れません。

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アリアス像石膏デッサン 小川 淳 1977

 絵が上手いと思っていた自分は、「ギリシャ彫刻の顔が似ない」というスランプにはまって、「このまま行ったら本当に受験は絶望的だな」と頭を抱えていました。

 しかし、東京芸大の試験では、すでにギリシャ彫刻は出ないことが分かってました。
 それでも私は熱心に「石膏デッサン」に取り組んでいました。
 当時目にした美術教育の出版物の多くに

 「石膏デッサンは時代遅れ。自由な創造性にとってあれは害になる。」

というものが多くありました。それに違和感を覚えていた私は、森岡宣氏から藤島先生、そして河合塾の原先生のもとで「石膏デッサン」を学んだことは本当に良かったと思っています。

 私にとってはデッサンは、創造性を支える足腰のようなものになっており、創造性やアイデアだけでは作品は成立せず、意外と早く枯れて行くように思います。

 ただ入学試験でギリシャ彫刻が出ていた愛知芸大は、私はデッサンの一次試験で落ちました。
 これは絵を描く場所が抽選で最後列になり、私はいつも最前列のかぶりつきで描いていたので、要領が掴めず、デッサンが空回りしてしまったからです。

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モリエール像石膏デッサン 小川 淳

 さて、その荒川修作氏も、名古屋の旭丘高校美術科に在籍していた時、その藤島先生に教わっていました。荒川氏は私より24歳上です。
 藤島先生は、荒川氏がある時、壁に貼ってある参考作品の石膏デッサンを剥がしてきて、自分のデッサンと見比べていて、足を机の上に投げ出して寝そべって見較べてるその姿がとても不遜に見えたと言われてました。
 私は思わず膝を揃え、背筋を伸ばしましたが。

 藤島先生は、画家としての荒川氏のことは、あまり評価出来ないと言われてました。藤島先生は日展という保守的な団体の幹部で、荒川氏は前衛芸術ですから仕方ないかも知れません。
 ただ妙に藤島先生とポロック氏の絵がダブって見える感じもします。お二人の歳は近いです。(ポロック 1912年生まれ、 藤島 奨 1915年生まれ )

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ポロック氏の絵を元にした携帯カバー

 毎週日曜日の藤島先生のデッサンの授業のあと、栄や伏見の画廊を見て回って「ギャラリーたかぎ」などでは荒川氏の作品も時々目にしました。それは絵というよりは記号的なデザインのようでした。
 今、その近くのスタバで良くお茶を飲んでます。
 荒川氏は、岐阜の「養老天命反転地」で知られています。



 荒川さんや工藤哲巳さん、中西夏之さんや赤瀬川源平さんなどが、戦後の日本の「現代美術」界では活躍されていたと思います。0円札の赤瀬川さんも旭丘高校の美術科出身です
 デートペインティングで有名な河原 温さんも愛知県の人です。

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1978年6月10日 河原 温 1978

 今のアートシーンで活躍している奈良美智君も、武蔵美から愛知芸大に来て、そこからドイツに行ってます。彼はドイツのデュッセルドルフの芸術大学では、ニューイメージペインティングのA.R.ペンク氏の教室だったと思います。

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奈良美智

 それを思うと、愛知県は「現代美術」と深い関係があるようにも思います。


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