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ダンテさん、この部分は直してほしいところですよね? [アート 文学 宗教]

 このダンテの「神曲」は、キリスト教文学としては、最高の栄誉を受けているが、イスラム教圏では、”発禁書”となっている。それは当然だ。「神曲」の中では、イスラム教の開祖マホメッドが、「宗教を分裂させた罪」で地獄に堕とされているからである。

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 さすがにこれはないでしょー、という場面。これでは喧嘩になるのは当たり前だろう。

 「神曲」紹介としては、ちょっと飛ぶが、地獄篇第二十九歌に、

”たがの外れた酒樽にしても、私が見た男ほど真っ二つに割れてはいなかった。

彼は、頤(おとがい)から、屁をひるところまで裂けているのだ。・・・(気持ち悪すぎて引用中略)

私が夢中になって彼を見つめていると、彼も私を見返し、両の手で胸の傷口を開いて叫んだ。

「さあ、俺が俺の体をどうやって引き裂くか見ておけ! めった切りにされたマホメットがどのようなざまか見ておけ!」”

(平川祐弘訳)

とある。つまり、宗教を分裂させたものが、その報いとして自分の体を分裂させられてしまった、という刑罰を受けている、ということだ。

 「神曲」の中では、このように表現されているが、この部分は、天国のダンテ氏も、心を痛めているところなのではないか?と推察される。

 この神曲2008展の関係者の中からは、「『マホメッド天国にいる図』というのを描いたらどうだろう?」という意見もあった。実際マホメットは、天国の高い場所、「如来」または「大天使」といわれる神々がおわす所にいる。他にはミカエルや、ソクラテス、プラトン、芸術系ではレオナルド・ダ・ヴィンチや、ミケランジェロなども、そこの神様なのである、と僕が断言する資格はないのだが、そうらしい。ちなみにダンテはその下の「菩薩」の世界にいるようだ。
 そのマホメットとミカエルが、それぞれイスラム教とユダヤ教の側を支援していて、2000年来の争いが、いまだに続いている、というのが天国の実情のようだ。

 さて、イスラム教では、”マホメッドの絵を描くだけでも死刑”みたいな過激さがある。「マホメッド天国にいる図」を描くことで、イスラム教徒が喜ぶかと思ったら、逆に「そんなものを描いてけしからん」と怒られ、ひょっとしてイスラム原理主義者のテロ攻撃に合うかもしれない。文化の違いとはそういうものだ。
 神曲2008メンバーの野村さんが「それなら僕が描くよ。ぼくが一番年寄りだから。」とおっしゃってくれている。

 「神曲2010」以降の製作では、このあたりも徐々に踏み込んで行きたいところです。

(写真)ドレ「神曲」地獄篇第28歌 宗教分裂を悔悟するマホメット
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