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マルクスが今いるところ [アート 文学 宗教]

 マルクスを地獄に堕としてしまった。
 ある人々は
「許すまじ、神曲2008!」
と憤慨されているかも知れない。

 僕もマルクスが憎くてやっているわけでない。
 彼はかわいそうな人で、晩年あまり本も売れなくて、エンゲルスなどの友人に経済的援助を受けながら、一人肘掛け椅子に座ったまま死んだ。
 彼は今、本当は地獄にはいなくて、「無意識界」という天国でも地獄でもない世界に「隔離されている」らしい。
 本人の意識は、やや朦朧としていて、「何となく調子が悪い」と感じているようだが、自分が死んだという意識は無いようだ。といって、活発に活動している訳でもないので、「何か変だな」と思っているのだが、何がどうなっているのかは分からないまま、ぼんやりと百年以上が過ぎている。相変わらず、不満だけはいっぱい持っている。

 マルクスや、エピクロスなどの「唯物論」者の考えでは、「死んだらすべて終わる」と考えているので、死んでもまだ意識がある場合は、それを死とは認められないようだ。
 だから、「自分はまだ生きている」と思っているが、何年も食べ物を食べていないし、人とも会わないので、「何か病院で麻酔でも打たれたのか?」「夢が長く続いているのか?」のように思うことが多いようだ。

 マルクスの場合は、「思想犯」として、地獄に行ってもおかしくないのだが、動機が善だったからか、本来天使だったからか、神の慈悲として「無意識」の状態で隔離されている。地獄に行くと、それなりの自由性があって、まわりに悪影響を与えるので、それはさせないようにしているようだ。

 彼はやはり、自分のことをイエス・キリストのような「救世主」だと思っている。

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